「左手が振るえて。うまくパレットを持てない。絵が描けなくなった。」
と、3年前に受診された女性がいらっしゃいました。
絵が描けなくなって、もう人生もお終いだとおっしゃいました。
診断は、パーキンソン病。
「良くなりますよ」「必ず良くしてあげますから、安心してください」とお話しして治療を始めました。
パーキンソン病の治療は、無理をすると副作用のために失敗するので、注意深く治療していきました。
完全ではありませんが症状は軽減して、「もう絵も描けるはずですよ。描いてください。」と励ましていたのですが、なかなか自信を持てないようでした。
やっぱり難しいのかなと残念に思っていたのですが、外来受診の時に「先生、また絵を描いたので見てください。」と持ってきてくれました。
それが、この絵です。
まるで、コローを思わせるような、素晴らしい絵です。題名は「晩秋」。 この素晴らしい絵を生み出すお手伝いをできたことを、嬉しくそして誇りに思います。
野中 道夫 Michio Nonaka