皆さん、こんにちは。
リハビリテーション部、言語聴覚士の小田柿です。
突然ですが、タイポグリセミア現象という言葉をご存知ですか?
タイポグリセミア現象とは、文章中の単語の文字をいくつか並べ替えても、その文章を問題なく読めるという現象のことです。
例えば、
こんちにはみさなんおんげきですか。
わしたはげんきです。
これはタイポグリセミア現象を説明する時に使われる有名な例文ですね。
人間は多少誤差があったとしても、勝手に脳で知ってる言葉に置き変えたり、補ったりして読むことが出来るんです。
会話にも同じような現象は生じますね。
聞こえた言葉を、自分の持つ知識や語彙で予測して、自分の理解できる範囲で処理しようとする機能が働くので、私たちは内容をある程度把握していれば、ところどころ聞き取れなくても会話が成立したりします。
今回のブログタイトルはうちの2歳児の発話です。わかりますか?
『スパゲッティ食べたら、唇に赤いのくっついた。』
親は愛を持って、我が子の拙い日本語をなんとか理解しようと、日々鍛錬を重ねているので大体予測できます。
構音障害を持つ患者さんとその家族の間でも、同じことが言えますね。
私たち、言語聴覚士は発話の聴き取りやすさ(明瞭さ)を、私たちは発話明瞭度という基準で評価していますが、発話明瞭度はこのように段階づけられています。
1よくわかる
2時々わからない言葉がある
3聴き手が話題を知っていればわかる
4時々わかる言葉がある
5全てわからない
3までは、前述の予測機能でなんとか会話が成立する段階ですね。
ただ、ここで経験に基づく予測機能や聞き手の『聴く姿勢』が大切になってきます。
『早合点してしまって、伝わらない』
『先読みされてしまって、最後まで聴いてもらえない』
『状況から想像することをしないから、さっぱり伝わらない』
明瞭度3でも、聴き手の姿勢によってはコミュニケーションが成立しなくなってしまうこともあります。
忙しい日々の生活の中で、ゆっくりお話を聞く余裕のない時もあると思いますが、少し時間ができた時には、予測機能を鍛えるつもりで『聴く』会話に挑戦してみるのも良いかもしれません。
リハビリテーション部 言語聴覚士 小田柿糸子