対話も、メールも、Twitterも、コミュニケーション

先日、アクセルエール株式会社代表取締役の松尾光晴氏を講師にお招きして、神経難病のコミュニケー
ション支援について当院でお話し頂きました。

松尾氏は、レッツチャット・ファインチャットというコミュニケーション支援機器の開発者であり、コミュニケーション機器のスイッチを選ぶ際のデーターベースとなるホームページ「マイスイッチ」の企画・運営をされている方です。幅広い疾患のコミュニケーション支援の経験をお持ちで、過去にも何度も当院でお話し頂いており、今回もとても勉強になる内容でした。

脳神経内科の疾患では、少なからずコミュニケーション障害が起こることがあります。
構音障害、音声障害、気管切開によって声が出せなくなるなど・・・、そういった発話の問題に加えて、
手足の動かしにくさが起こってくると、代わりの手段も限られてきます。
例えば、手の震えがあると、筆談がうまくできなかったり、50音表をうまく指させなかったりします。
そこで、スイッチやコミュニケーション機器の検討も含めた支援が大切になってきます。

近年、コミュニケーション支援は変化してきています。
皆あたりまえにスマホを使って、メールやLINEでのやり取り、ゲーム・アプリ・インターネットをしている時代ですから、そういう方が急にスマホが使えなくなると困ってしまいますよね。
これからの時代は、対話の支援だけでなく情報・通信面の支援も考える必要があります。

高齢の方でも、IT機器を使えるようになることで、活動が広がることもあります
子供や孫と離れて暮らしていても、スマホやパソコンを使って、LINEやメールで孫の写真を送ってもらったり、近況を報告しあったり…、そのやり取りが大切な活動機会になっている患者さんもいます。
また、そうやって普段から機器を使うことに慣れていると、いざコミュニケーション機器やスイッチの練習をするときも機器への苦手意識が少なくて済みますし、スマホやタブレットを使い続けたい気持ちがモチベーションになり練習を頑張れることもあります。
一方で、身体がつらくて新しいことを覚えるのが大変、最低限、身近な人に文字盤で用件を伝えらればいい、という人もたくさん居ます。

誰と、どこで、どんなコミュニケーションをとりたいのか?
機器を使うのは苦手?得意?体の状態や普段の姿勢は?
新しい・複雑な操作を覚える能力や心理的な強さ、モチベーションはある?
家族や介護者の協力性や知識は?経済面は?
などなど、いろいろなことをご本人様・ご家族様に伺いながら、
「その方に合った」コミュニケーション方法を選択していくことが大切であり、難しいところです。

リハビリテーション部 言語聴覚士 小田柿