食欲の秋がやって来た。秋に限らず、どんな時でも私の食欲は衰えることを知らないのだが、秋は特に美味しいものが満載なので困ってしまう。小樽の市場の近くで育ったからだろうか、私は市場で買い物をするのが好きだ。最近は家の近くの中央卸売市場で買い物をすることが多い。「あ~、もう〇〇が出ているんだなぁ~」売り場に並ぶ野菜や魚に季節を感じ、今日は何を買おうかとメニューを考えながら歩き回っている時間が幸せ。体を作っているのは食べ物。どうせなら季節の自然の恵みを美味しくいただいて、自分の健康を維持したいと、食いしん坊の私は思っている。
市場のよさは対話があることだろう。顔なじみになった市場のおばちゃんに、おいしい食べ方を聞いたり、調理の仕方を教わったりしている。こんなに長く生きて来たのに、食べたことのない野菜や、料理したことのない魚がまだまだある。初めての食材はなるべく買って食べてみることにしている。新しい味との出会いはわくわくで楽しい。
初物はちょっとお高めでも1度は味わい、旬になって安くなったらいろいろ料理してみる。料理は私のストレス解消の1つ。料理をしている時はよけいなことは考えず、おいしいものを作ることだけに集中できるのがいい。悩みはついつい多く作ってしまい、それを1人で全部たいらげてしまうこと。食べ過ぎを回避するため、時々近所に住む友人に、おすそわけをするのだが、忙しい人なのであちこち飛び回っていて不在なことも多く、もったいない世代の私は、結局残さず食べてしまい膨張し続けている。
今年は鮭が採れるようになってきたのか、生筋子が少しお手頃な価格で出回っている。先週卸売市場で、キロ5000円で売っているのを見つけ、さっそく醤油漬けにして、日頃お世話になっている飲み仲間におすそわけした。今年は3回ほど浸けることができたので満足!
さて、今日の昼食のメニューは何にしよう。
そろそろ出始めた栗を炊き込んで、今年初の栗ごはんを作ろう!汁物は鮭のあらが安かったので鮭のあら汁に。野菜とこんにゃくを入れ、イクラも加えてみようか。大好きな秋茄子は鴫焼きに。胡桃味噌をのせてあみで香ばしく焼き、香りづけにはちょっときどって山椒の芽も添えよう。長いもときゅうりの角切りには、イクラの醤油漬けを贅沢にたっぷりと。ここに本当は今が旬の秋刀魚の塩焼きを登場させたいところだが、あまりのお高さに手が出なかった。この秋はお刺身と塩焼き1回ずつしか、我が家の食卓に秋刀魚は登場していない。庶民の魚はいったいどこに行ってしまったのだろう?市場に行くたびに気候変動と生態系の変化を強く実感させられる。
さぁ、ごはんが完成!美味しい秋の味覚を届けるために、苦労してくれたお百姓さんや漁師さん、その他の人々に感謝しながら、「いっただっきま~す!!」
秋の乙女